発達障害と就職

①発達障害とは

自閉症やADHDなど先天的に脳の認知機能に生じた障害の総称。それにより、得意・不得意のでこぼこや、その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチをおこしやすく、社会生活に困難が発生する場合があります。

 

②発達障害の種類

知的障害を伴わない発達障害として、下記の3つにがあります。

  1. 自閉症スペクトラム・・・かつてはアスペルガー症候群や高機能自閉症などと言われていたものを1つの名称に統一したもの。「三つ組みの障害」と呼ばれる「社会性」「コミュニケーション」「想像力」の面に障害が表れるのが特徴です。
  2. ADHD・・・注意欠陥多動性障害(注意欠如・多動症)の英名を頭文字で示したもの。

不注意、多動性・衝動性を主な特徴としています。

  1. 限局性学習症・・・かつては学習障害(LD)と呼ばれたもので、知能には大きな問題がないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」といった学習技能のいずれか1つ以上がうまくできない状態を指します。

 

これらの障害はそれぞれ異なる障害として分類されていますが、それぞれが併発するケースや運動障害が伴うケースもあります。また、自閉症スペクトラムではてんかんや習慣性けいれんともいわれる「チック」が重症化したトゥレット症候群、感覚異常(過敏・鈍麻)を併発するケースも見られます。

 

ADHDと自閉症スペクトラムが併発する場合、診断名は自閉症スペクトラムが優先されますが、その特徴の現れ方は十人十色。それによる得手・不得手や困りごとも人それぞれで違います。

 

 

③発達障害のある人と就職

上記の発達障害は知的障害を伴う自閉症(カナータイプとも言われる)とは異なり、外見からその障害の有無を見分けるのは困難です。この一見「普通の人」に見えてしまうことが発達障害のある人の「生きづらさ」を生んでいるという背景があります。

 

【発達障害のある人の「生きづらさ」は一見「普通の子」であること】

前述の通り、発達障害のある人は外見からは分かりにくく、知能にも問題がない事から学生時代には周囲からの扱いも「ちょっと変わった子」程度で、「普通の子」と変わらないと思われますし、当事者本人も得意・不得意に違和感を感じつつも、「普通の子」として学生生活を過ごしてこられた方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか?

そうして学生時代までは「普通の子」として過ごせていた人が、社会に出てから不得意分野への指摘・叱責などを受け続けることで、不適応を覚えて、うつ病などの精神障害を発症したことをきっかけにそこで発達障害が発覚するというのが、昨今社会問題化しているいわゆる「大人の発達障害」と言われているものです。

 

「大人の発達障害」の何が社会問題なのかといえば発達障害の有無そのものではなくて、発達障害が見過ごされた結果、社会に不適応を覚える人が増えてきたことにあるのです

 

【発達障害のある人の「生きづらさ」は「不適応を覚える環境」】

ただ、発達障害は先天的なものなので大人になってから発症するという事はありません。そして、不適応を覚えるのも必ずしも社会や職場とは限りません。学生時代にも障害からくる特徴によって、いじめを受けたり、本人の理解しがたい校則・ルールなどに縛られたりすることで不適応を覚えるケースはあります。

 

つまり、得意・不得意の凸凹(でこぼこ)が生まれた時からあるのが発達障害なので、そこからいじめ被害やうつ病などの問題につながっていないならば、それは今ある環境に不適応を覚えることなく過ごせているということです。自身が発達障害で得意・不得意の凸凹(でこぼこ)があろうとも、社会生活において不適応を覚えることなく過ごせるような環境や仕事選びをする事はとても大事です。

 

逆に、発達障害のある方にとって、自身の不得意部分がクローズアップされやすい仕事内容や職場環境を選んでしまうとミスマッチが起こりやすく、不適応を覚えやすくなってしまいます。障害特性を鑑みて、ミスマッチを起こしにくい仕事内容や職場環境を選択するのは簡単ではありませんが、ご自身でミスマッチを起こしにくい仕事内容や職場環境を作っていく努力も必要になってきます。

 

④発達障害のある人の仕事選びのポイント

【どういう基準で仕事を選ぶか】

上述の通り、発達障害のある方は、得意・不得意の凸凹(でこぼこ)によって仕事内容や職場環境とミスマッチが発生しやすい傾向があります。業務内容や職場環境が自分にあっているか・発達障害の特性だけでなく、自身の得意・不得意を理解し、それを適切に伝えられるかを確認・検討することは、安心して働くためにも大切です。

 

自身の得意・不得意を理解し、それを適切に伝えられるかを確認・検討することがご自身だけでは難しいと感じたら、公的な支援機関や就労移行支援事業所などの活用を検討してみてはいかがでしょう?専門のスタッフと一緒に考えていける機会が得られます。

 

【職場に何を求めるか】

発達障害は外見からその障害の有無を見分けるのは困難であるゆえ、周囲の理解が得られにくく、障害からくる特徴が「怠け」や「甘え」などと誤解をされてしまいやすいです。

 

そこで、仕事を円滑に行うために自身の得意・不得意をご自身が適切に理解して、対策を考えることが大切です。頭の中で考えるだけではなく、紙に「得意・不得意なこと、自分でできそうなこと」を書き出してみましょう。

 

そのうえで、周囲のサポートを求めたい場合は、それを適切に伝えるための確認・準備が必要になります。会社の上司や同僚など伝えるべき相手は誰か、「自身が困っていること、自分なりにできそうな対策、会社に求めたい配慮」などを書き出した上で相談してみましょう。

 

 

自身に向いている仕事とは「できる仕事」であり「長続きする仕事」です。特にアスペルガー症候群では、特定のこだわりの強さゆえにそれがより顕著になると考えられます。

 

そのうえで、発達障害の方に向く仕事・向かない仕事とよく言われる職業を下記の表に示してみました。

向く仕事

・学者、研究職

・コンピュータープログラマー

・Webデザイナー、CGアニメーター

・事務、書類管理

・カメラマン 校正者

・エンジニア 技術職

 

向かない仕事

・接客業、営業職 教師

・スーパー、コンビニ店員(レジ打ち)

・料理人、ウェイター・ウェイトレス

・介護・看護職

・電話オペレーター

 

 

発達障害は脳の認知機能の偏りによるものでその偏り方はその人によって千差万別です。

 

仕事選びで失敗しないためには、自身の特性の理解や得手・不得手の把握はもちろん、その理解と必要なサポートを得られるかが大切と考えます。

 

 

【“診断名”ではなく“その人の個性”と捉え対応する】

障害の現れ方は人それぞれで大変複雑なものです。

 

ゆえに、当事者自身もその周囲の方々も、診断名から画一的に判断・対応するのではなく「障害からくる特徴」がそれぞれが持つ「個性」と捉え、マイナス面だけで捉えるのではなく、その人の持つ能力の活かし方やサポートの必要な場面などをお互いに考えていくことが生きづらさを覚えないための最善の方法であると考えられています。

 

その証拠となるのが、昨今社会問題化している、いわゆる「大人の発達障害」と言われているものです。要は学生時代までは普通に過ごせていたと思っていたのに、社会に出てから不適合感を覚えて、そこでアスペルガー症候群などの発達障害が発覚するというケースです。学生時代には「個人のくせ」くらいで済まされていたものも、社会人ともなると、自身の「社会人としての評価」は「会社の評価」にもつながっていくわけで気になる点は厳しく指摘されていくのは当然のことと言えます。

 

ただアスペルガー症候群の特徴である「三つ組みの障害」によって、不得意とされるものは現代社会において、いずれも重要度が高く(というよりできているのが社会人としての基礎・常識というレベルで認知されているものばかり)、それによって「職業人としての評価」の前に「社会人としての評価」を大きく下げてしまう事になりやすいのです。

 

それなのに、当事者自身ならびに周囲への障害理解が進まず、このままの状況が続けば周囲は当事者に「怠けている」「常識がない」などと誤解を生むことになりえますし、注意・叱責を与える機会が増えてしまいます。それに対し当事者は自身に何が足りないのか理解できぬまま、自信だけを損なってしまい、それがひどくなるとうつ病や適応障害といった精神障害を引き起こす事にもなりかねません。(ちなみに、注意・叱責を与える周囲も当事者の対応に疲れ切ってしまい、うつ病などの精神障害をきたしてしまうケースもありえます。これをカサンドラ症候群といいます)

 

発達障害の理解不足から精神障害などを発症してしまう事を二次障害といい、アスペルガー症候群などの発達障害の当事者が仕事をしていく上でこの二次障害を引き起こさないという視点はとても重要です。そのためにも自身に向いている仕事やできる仕事、サポートの必要な事の理解とそのための環境調節は必要不可欠なのです。

 

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