精神障がい者と雇用

1:障がい者雇用における、精神障がい者の雇用の企業側のイメージとは?

障がい者雇用における、身体・知的・精神障がい者の内訳をみると、精神障がい者は全体の10%にも満たない(身体が約60%、知的が約30%、精神は約7~8%)

→ 企業側が精神障がい者を雇用したがらないことをよく表した数値といえる

 

・なぜ企業側は精神障がい者を雇用したがらないのか

うつ病や統合失調症などこれらの病気・障害の認知は進み、「犯罪を起こすのでは」「刃物を持って暴れるのでは」といった精神障がい者への間違ったイメージは変わりつつあり、障害者雇用率の高まりもあって、積極的な障害者雇用が求められる時代となっているものの、企業側の精神障がい者雇用は進んでいないのが現状。その理由として

 

①:発達障害者における過集中とその反動や、統合失調症・双極性障害などで体調の波が生じやすい症状を呈することがあることで、突発的に仕事を休む確率が他の障害者に比べて高い。

→ 安定して一定のパフォーマンスを発揮できる人材を求めたがる企業が多い中では敬遠されやすい要素

②:精神障がいは、障害の種類だけでなく、その人それぞれによっても対応方法が変わる為、企業側の対応が困難(マニュアルなどが作りにくい)

③:上記の点から組織の一員として順応しにくい(職員が対応できない)

④:企業自体に雇用実績が乏しく、受け入れる下地が十分にできていない

⑤:「精神障害の人はすぐに辞めてしまう人も多い」という企業側の不安

(実際、精神障害者の平均勤続年数は4年3カ月と、身体障害者や知的障害者に比べて勤続年数が短い)

などがあげられる。

 

2:オープン・クローズのメリット・デメリット

・オープン・クローズとは・・・就労を目指すにあたって企業側に自身の障害を開示する(オープン)かしないか(クローズ)を指します。それぞれに下表にまとめたメリット・デメリットが存在します

 

 

 

オープン

クローズ

メリット

障害に対して周囲から理解を得られ、配慮が受けられやすい。

 

就労移行支援事業所を始めとした支援機関に、就職後の職場定着のフォローや企業との間に入り、労働環境等を調整してもらうことも望める。

幅広い職種、仕事内容で募集されており、求人数や賃金もオープン就労より多くなるケースが多い

デメリット

クローズ就労よりも求人数・賃金が少なく、仕事の内容も限られる。

 

就労移行支援事業所など支援機関の利用を含め、自身が「障害者である」と公にする必要あり

現在の病状・障害に対して会社や周囲から特段の配慮・理解を期待できない。ゆえに通院などのための休みも取りづらい

 

精神障害の場合、外見からはその病状・障害の有無を判断することは困難なこともあり、クローズ就労ではほぼ何の配慮も得られることが期待できず、それゆえ就労を継続することのハードルはとても高くなるといえます。

 

 

3:精神障がい者が働くことを目指す上でやっておくべきこと

企業側が精神障がい者を雇用したがらない理由の1つに、障害の種類だけでなく、その人それぞれによっても対応方法が変わる為、企業側の対応が困難だということがあるとお伝えしました。

 

これを分かりやすく言いかえると、企業側は当事者が「障害があることで、仕事する上で何にどのように困るかが分からない」ことに困っているということです。

 

いかに企業側に障害者雇用の義務があるといっても企業は営利目的で動いている組織です。そこで雇用される職員は障害のあるなしに関係なく「企業に利益をもたらす存在」「戦力」を求めているのです。その戦力として期待して採用した人が自身の困りごとを上手く企業に伝えられず、ミスをしたり、パニックになって急に仕事に穴をあけたりしたら、企業側だって困ってしまいます。

 

もし仮に、この企業側の困りごとを当事者側で困らないようにしてあげればどうなるでしょう?もしくは採用面接などの際にご自身にどういった障害があり、どういう場面・どういった事で困るか説明できるとしたらどうでしょう?

 

言いかえると障害があることで、仕事する上で何にどのように困るか当事者側で把握し、それを適切に企業側に伝えられるようにし、企業側からどれだけの配慮が受けられるかを確認できるようにするための準備が必要だということです。

 

4:就労支援事業を活用しよう。

上記のような準備がしっかりできれば、精神障がいがあっても平均勤続年数である4年3カ月を超えるくらい就労を継続させることができる可能性はとても高くなるといえます。

 

しかしながら、精神障がいの当事者だけで自身の障害によって何に困っているかを知り、それが適切に相手に伝わる伝え方を身につけ、企業側から受けられる配慮を確認する事は大変難しい事です。

 

また、たとえ配慮が得られる環境があったとしても、一般企業への就職が困難な当事者もおられます。

 

そこで、当事者にその準備の手伝いをしてくれたり、面接の席などで企業側の間に入ってくれたり、一般企業への就職が困難な方に就労の機会を提供したりするものに就労支援事業があります。

 

市町村など自治体が障害者に対して福祉サービスとして提供している就労支援事業には以下のものがあります。

 

・就労移行支援事業:一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に2年間にわたり就職に必要な知識やスキル向上のためのサポートを行う。

・就労継続支援事業:一般企業での就労が困難な方への働く場の提供、知識及び能力の向上のために必要な訓練をおこなう。雇用契約を結ぶA型と結ばないB型がある。

・就労定着支援事業:通常の事業所に新たに雇用された障害者につき、3年間にわたり、就労の継続を図るために関係機関との連絡調整や対面による面談などのサポートを行う。
(平成30年4月より開始)

 

また、障がい者の就労のサポートをしてくれるという意味合いでは以下のような施設・機関もあります。

 

ハローワーク:障害者を対象とした求人情報の提供が受けられるほか、仕事の探し方など、就職に関する様々な相談に乗ってもらえたり、職業訓練の仲介なども受けられる。

障害者就業・生活支援センター:就職に向けての準備・支援や職場定着支援などを、就業や日常生活における支援を必要とする障害者を対象に行う。また関係機関との連絡調整などもおこなっている。

地域障害者職業センター:各都道府県に設置された障害者の就労を支援するために、職業能力などの評価や支援計画の作成、就職活動の相談などの地域に密着した職業リハビリテーションを行う施設。

職場適応援助者支援:ジョブコーチと呼ばれる有資格者が、ナチュラルサポート(職場内において上司や同僚が支え、見守る事業主主体の支援)の形成に向けて支援をおこなう。

地域若者サポートステーション(サポステ):こちらは障がい者だけが対象ではなく、15歳~39歳までの方が利用可能な施設となりますが、働くことに悩みを抱えている方に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。

 

 

5:新しい働き方

元号も令和に代わり、その令和の時代の幕開けを象徴するかのように叫ばれ続けている言葉があります。それが「働き方改革」です。正確には令和の時代になる前の2019年4月1日に働き方改革関連法案の一部が施行されることを受けて、使われ始めた言葉のようですが、これだけ働き方改革が叫ばれるのは、新時代に求められている大きな課題であることに間違いがないからでしょう。

 

厚生労働省では『「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。』と定義しており、この背景には労働力人口の減少に歯止めをかけるという目的もあります。

(引用元:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/000335765.pdf

 

そのための対策として、今労働市場に参加していない人々に働き手となってもらうことも含まれており、メインとなるのは女性や高齢者なのですが、障害者とりわけ企業が雇用したがらない精神障がい者の雇用促進も課題として捉えられるべきであると思います。

 

下記に示すのは全てが決して精神障がい者のための雇用の形という訳ではないのですが、今労働市場に参加していない人々に働き手となってもらううえで、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方として注目されているものになります。

 

1

(引用元:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00009.html

 

2:テレワーク:情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。

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